GOLF.com:トランプ大統領が主導するEast Potomac Golf Links改修計画、設計者ファジオが詳細を語る
一度は断った、でも現地を見て気が変わった
トランプ大統領から改修の依頼を受けたとき、81歳の名コース設計家トム・ファジオ(Tom Fazio)は即座に断った。許認可手続きの複雑さと、既存の管理団体(National Links Trust)が進めていた計画との衝突を予見したからだ。
ところが、妻スーの勧めでワシントンD.C.を訪れ、実際にEast Potomac Golf Linksを歩いてみて考えが変わった。ポトマック川とワシントン・チャンネルに挟まれた人工半島に位置するそのコースを見て、ファジオは「ペブルビーチに匹敵する立地だ」と直感。トランプに折り返し電話し、「あなたは正しかった」と伝えた。
プロジェクトの経緯と現在地
2020年に内務省がNational Links Trustに50年リースを与えていたが、2025年12月に内務省はそのリースを破棄。2026年5月9日、政府はFazio Designを含む複数の組織と「即時改修」の契約を締結したと発表した。
一方、地元ゴルファーや保存団体は訴訟を起こし、連邦裁判所は「正式な許可なしに抜本的な改修を行うことを禁ずる」との判断を下している。反対運動団体「Save East Po」も活動を続けており、プロジェクトは依然として法的・政治的な不確実性を抱える。
コース設計の概要
ファジオが構想する新コースの主な仕様は以下の通りだ:
- 全長:バックティーから7,660ヤード - 構成:前半2ホールは練習レンジと9ホールのパー3コースと共に北西エリアに配置、残り16ホールは既存コースのフットプリントを活用 - ティー設定:フォワード2段階・ミドル2段階・チャンピオンシップ2段階を設ける予定で、高ハンデキャッパーにも配慮 - ホールの方向性:現在は全ホールが南北方向に走るが、新設計では多様な方向に「曲げる」ことで変化をもたせる - クラブハウス:歴史的な外観を持つ既存クラブハウスは保存・改修される - 練習レンジ:南北方向(夕日を背にして打てる向き)に400ヤードのレンジを新設
最大の課題は排水と予算
ファジオが最も頭を悩ませているのが、低地に位置するコースの排水問題と洪水対策だ。トランプのホワイトハウス改修工事から発生した約3万立方ヤードの残土(低濃度の鉛・クロムを含むとされる)が既にコース内に搬入されているが、ファジオはこれを数ホールのグリーンとバンカー造成に使うものの、「洪水を防ぐには全く足りない」と語る。
総工費の見積もりは現時点では出ていない。ファジオは「数週間後にはある程度把握できる」とし、最楽観シナリオで2026年夏着工・2027年夏植芝・2028年春オープンを目指している。
Strokeslabの視点
ファジオは「ハイハンデキャッパーが楽しめないコースは作らない」と明言しており、Strokes Gained的に見ても多様なティーセットアップはコースの「難易度分布」を広げる有効な設計思想だ。
トランプが「メジャー開催・ライダーカップ誘致」を掲げる一方、ファジオが複数段階のティーを設けることを明言している点は、パブリックコースとしての存在意義を守ろうとする設計家の矜持が感じられる。ただ、法的障壁・排水コスト・コミュニティの反発という三重苦をどう乗り越えるかが、このプロジェクト最大の見どころになるだろう。
7,660ヤードのチャンピオンシップ仕様と複数段階のティー設定は、Strokes Gained的に「同じコースで異なる難易度帯のデータが取れる」という点で興味深い設計方針だ。パブリックコースとしての公共性を保ちながら世界最高峰の試合を誘致できるか、今後の動向を注視したい。
この記事の原文
GOLF.com: Tom Fazio Details Trump's East Potomac Renovation — Championship Dreams for D.C.'s Public Links
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