9年ぶりの帰還――バークデールに戻ったスパイス
2017年全英オープン、ロイヤル・バークデールの18番フェアウェイをクラレットジャグを手に歩いたジョーダン・スパイスは、23歳以下で3種類のメジャーを制した史上2人目の選手となった。あれから9年。今年の全英オープンで同じ舞台に立った彼は、当時とは別人のように変化している。
「コースでも日常でも、私はかなり変わった」とスパイスは語る。PGAツアーでの勝利は2勝にとどまり、メジャー制覇はゼロ。しかし本人の口調に悲観はない。今シーズンは18試合中16試合でカットを通過し、トップ25入りも8回を数えるが、トップ10はいまだ0という矛盾した成績が現状を象徴している。「ショットが良い週はパターが崩れ、パターが入る週は大きな数字が出てしまう」――歯車が噛み合わない苦しさを本人も自覚している。
変わったコース、消えた名シーン
ロイヤル・バークデール自体も2017年から改修を経た。スパイスが13番で「球場外からのショット」という伝説的なボギーを演じたあの右エリアは、現在はアウト・オブ・バウンズになっている。さらに彼が6番アイアンを5フィートにつけてBirdieランを起動した旧14番パー3は廃止され、50フィートのEagleパットで「Go get that!」と叫んだ旧15番は14番へ繰り上がり、グリーンも高台へ移設された。「最高のショットと最高のパットが、もうこの世に存在しない」とスパイスは苦笑しつつも、「新しい名場面を作ればいい」と前を向いた。
フィル・ミケルソンへの言及が示す心境
今年32歳を迎えたスパイスは、フィル・ミケルソンが初メジャーを34歳で制したことを引き合いに出した。「自分のベストと比較するのは、かつての自分に戻るためではない。あのレベルに届けると知っているから、今の自分として目指し続ける」。過去を聖地に重ねながらも、後ろではなく前を見て戦う――それが今のスパイスの立ち位置だ。
Strokeslabの視点
スパイスの苦悩はSGデータにも如実に表れている。ショットメイキングとパターの波が週単位でずれ続ける選手は、個別カテゴリーの上下動が激しくてもSG: Totalの安定が得られない。バークデールのリンクス独特の風・バウンド・ランを味方につけるには、特にSG: APPとSG: Puttingの同時点火が不可欠。9年前の記憶を燃料に、その化学反応が今週起きるかに注目したい。
スパイスのSG: APPとSG: Puttingは今季「同時に噛み合う週」がほぼない――バークデールのリンクスコンディションがその歯車を合わせる触媒になるかどうかが、今週最大の見どころだ。